アーティストと研究者と考えるオープンミーティング
札幌文化芸術センター SCARTSと北海道大学CoSTEPは、アート&サイエンスを主題に若い世代の皆さんと一緒に、アーティストと研究者=アートの創造性と科学的な探究に触れ、世界をひろげる学びの場をつくることを目指すプロジェクトを行っています。毎回、サイエンスを切り口としたテーマを設定し、アーティストがそのテーマを探究するプロセスを一緒に体験していきます。
みなさんは、過去・現在・未来といった時間軸を見通す行動「時間展望」という考え方をご存じでしょうか。今回は「時間展望」をテーマに、「プレコンセプションケア」(=男女問わず、妊娠・出産を考慮に入れ、現在の健康状態を確認したり、生活習慣の見直しを行ったりすること)を切り口としたオープンミーティングを8月1日、SCARTSのモールCで開催しました。
*SCARTSでの報告記事を掲載してます。
ファシリテーターを務める北海道大学CoSTEPの朴さんによるテーマ「時間展望」についての説明からイベントがスタートしました。
時間展望とは、個人を軸に過去・現在・未来といった時間を一続きとして捉え、ライフプランを考えることで現在の行動が少し変わるかもしれない、未来に向けて今どんな行動をとるか、先を見据えた思考やポジティブな時間意識を持つといった概念のことです。
続いて、考えるためのインプット=話題提供として、研究者とアーティストが交互に発表を行いました。
話題提供 ①
前田絵里氏からは、男女の妊娠・出産に関する現状をさまざまな研究データから紹介いただき、科学的根拠に基づく「プレコンセプションケア」の概念を解説いただきました。
話題提供②
荒木悠氏からは、作品制作におけるテーマの探究を自身の経歴の影響についてや、作品制作のプロセス、日常での気づきや出会いを面白く感じるレベルまで引き上げるといった好奇心について、近年発表した作品の一部を上映しながら、お話いただきました。
話題提供③
佐野友宇子氏からは産婦人科の臨床医の経験から若い世代に伝えたいことや症例を紹介いただきながら、実際に産婦人科でどんなことを行っているかをお話しいただきました。
話題提供④
市原佐都子氏からは、作品を映像で紹介いただき、制作のきっかけとなった事柄やそれに対する自分の中考えを表現へと結びつけ、社会問題や個人それぞれの課題に接続するといった、現実をフィクションに置き換える表現手法などをお話いただきました。
4名からの濃い話題提供のあと、登壇者間で感想などを話し、参加者からの質疑応答を行いました。その後、事前に参加者に配布された「未来展望カード」「現実カード」「なるほどカード」「質問カード」を各自で記入し、参加者同士で各登壇者の話題提供に対する感想や10年後の未来について意見交換を行いました。
アーティストや研究者の探究・研究に触れ、たくさんの情報をインプットした参加者の皆さんがどんな選択肢を想像し、未来を創造するのか。このプロジェクトは、今回のオープンミーティングをキックオフとしてアーティストも探究を深めていきます。
今後の活動・イベントにもご注目ください。
撮影:門間友佑
教育関係者の皆さまへ
〈SCARTS×CoSTEPアート&サイエンスプロジェクト〉
本事業は、若い世代のアートやサイエンスに対する探究心や感性を養うことを目的に、SCARTSと科学技術コミュニケーションの人材育成を行う北海道大学CoSTEPが連携し、新しい教育プログラムを研究しています。また、高校教育における探究学習と接続することを目標とし、多様な文化的・芸術的感性の育成を目指す、持続可能な社会教育事業を推進していきます。
SCARTSとCoSTEPは事業の質の発展的向上のため、皆さまのご協力をお待ちしております。
アーティストの探究活動を学校等教育機関で活用することや、高大連携の取り組みについてなど、ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせください。