北海道大学・科学技術コミュニケーター養成プログラム(CoSTEP・コーステップ)受講説明会が2013年4月6日に開催されました。説明会(1時間32分)と、2012年度修了生(8期)による座談会(1時間3分)の様子を映像で公開します。
また説明会と座談会の質疑応答のテキストを末尾に掲載しております。
当日の配付資料はこちらよりダウンロードできます。
こちらから募集要項はダウンロードできます。応募フォームはこちら。
※募集に関するお問い合わせは、メールでCoSTEP事務室まで。
office[at]costep.open-ed.hokudai.ac.jp([at]を「@」に変えてお送りください)。
※また4月10日(水)15:00〜19:00には、CoSTEP事務室(高等教育推進機構N163A)で、
スタッフが直接、質問にお答えします。建物内のアクセス地図はこちらをご参照ください。
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■受講生説明会・質疑応答
Q:選択実習を三つ全部取るのはできるのか。また、別途料金はかかるのか。
A:選択実習の分も受講料に含まれている。全部とれるかどうかについては、絶対不可というルールはないが、実際に時間をやりくりするのは厳しいかもしれない。自分の時間にあわせて受講してほしい。スケジュールについては担当教員から開校後にお知らせするので、それで検討してほしい。
Q:根本的な話になってしまうかもしれないが、「科学技術」には数学も含まれるのか。
A:「科学技術」に何が含まれるのかという問題は、各個人の考えによると思う。数学も含まれると考えるなら含まれるだろう。学んだスキルを使ってそれぞれ範囲と考える分野の問題を解決してほしい。
Q:受講生の所属・職業についてだが、多くはサイエンスに関わっていると思うが、北大生では理系が多いのか
A:理系が多いが、文系の履修生も少なくない数いた。理系も科学技術コミュニケーションに関する研究等をしているというのではなく、視野を広げたいということで来ている。こちらとしては特に文系理系は区別していない
Q:他大学や社会人の方もサイエンスに関する研究などをしているのか
A:多い傾向はある
Q:映像実習ではカメラを貸して頂けるとのことだが、PCもあるのか。また、どのようなソフトを使うのか
A:WindowsもMacもあり、受講生は利用できる。ソフトはadobe CS6 PremiereやFinalCut使っている。なんでもこちらで提供できるわけではないが、使用ソフトに特に制限はない。
Q:将来教員を目指している。非常魅力的なプログラムだが、過去の修了生で、教員志望の人はどのような科目をとっていたのか。もしあれば教えていただきたい。
A:講義は全て履修するものであり、どの職業にどの講義が向いているという対応は特にはない。自分の興味で選択してほしい
Q:選科演習Aはイベントをやるとのことだが、どこで何をするのかは決められているのか。それともゼロから履修生が決めるのか
A:変更があるかもしれないが、例年は北大内の施設で20分程度のミニサイエンスイベントを実施している。北大以外でやることや全く新規のイベントもあり得るが、3日間という期間で実施するので概ねこの形に落ち着く。今年度もそれでやることを予定している。
Q:選択実習には本科と選科があるが、同じ物を履修するのか
A:はい
Q:そうであれば、選科の人はそのためにまた札幌に来る必要があるのか
A:そうです。ただし受講方法については開講後にお知らせするので、いろいろな受講の仕方がありうる
Q:本科の講義は9コマまでe-learningがOKとのことだが、どうしても参加できない場合など、欠席についてはどのように扱われるのか
A:7割程度の出席が修了要件となっている
Q:本科実習のどれを選択するかはいつまでに決めるのか
A: 申し込み時に決めてもらい、その後書類や面接を考慮して決められる
選科の詳細は開講後にお知らせするため今は決まっていない。担当教員から募集のお知らせがあり、その中で締め切りもお知らせする
Q:働きながらの受講を検討しているが、レポートはどういったもので、どの程度の負担があるのか
A:レポートは年間8本程度で提出は必須。講義3本に対して1本書く。文量はそれぞれ1000字前後だが、教員やモジュールによって前後する。締め切りの期限は課題提示から1カ月程度。
Q:学生時代に文科系を専攻していたので興味はあるのだが、科学技術そのものについての理解が深いほうが科学技術コミュニケーションに有用なのかどうかと思っている。科学技術そのものについての理解を深めるプログラムはあるのか
A:一年間の限られたコマ数で限りがあり、科学技術そのものを学ぶ授業はないので、自分や周囲から学んでほしい。ただし、これまでも文系の方も受講しており、問題があったということはない。科学技術というよりは学術知、専門知と社会をつなぐというのが科学技術コミュニケーションのテーマなので、ぜひ参加してほしい
A:文系の人だからこそできる科学技術コミュニケーションがある。自身もわからない人が、なぜわからないのかを考え、理系の人に提案することが必要。そういうことを積極的に文系の方々にやっていってほしい
Q:一つ目の質問はレポートについてだが、例えばどのようなテーマなのかを教えてほしい。二つ目の質問。私は理学院にいるが、大学院科目に「科学技術コミュニケーション特論」があり、CoSTEPのウェブサイトでも紹介されている。CoSTEPを受講して、この大学院授業も受けたほうがよいのかなど、両者の関係性を教えてほしい
A:まず一つ目のレポートについて。3つの講義を聞いて、そこで語られた課題の解決について、自分なりにどのような活動が考えられるか、あるいは自分でそのテーマの問題点を抽出するなどがある。
A:二つ目の大学院科目とCoSTEPの関係について。大学院科目は7回1単位で実習的な要素は少なく、大学院生に科学技術コミュニケーションのマインドを持ってもらう導入として位置付けている。よりスキルを学ぶためにCoSTEPも受講するということは十分に考えられる。
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■修了生座談会
・修了生の話(Q:司会(大津)A:8期生)
Q:社会人の学ぶ意義、学生の意義、両者がいる意義はなにか
A:社会人には学生にはない社会経験、先手先手を読む力がある。アドバイスも知識があって助けられた。CoSTEP履修生にはそれぞれ強い夢があり、まとめるのが大変だったが、それをまとめる力がついた
A:カフェをやったが、社会人というと上下関係を気にしてしまうが、CoSTEPだとそれを気にせずできたのがよかった。みなさん妥協を知らないが、自分の価値観を超えるような意見のぶつけあいができたのがよかった。
Q:学内と学外の人のつながりについて教えてほしい
A:研究者は外に発信することが強く求められてきているので受講した。学内の人だけだとどうしても内輪になってしまうが、いろいろな立場の意見を聞くことで、外へ発信するとは何かを学ぶことができた。
Q:研究者として受講する意味は
A:研究者はアウトリーチ活動を求められているが、そこでわかりやすく話せば伝わる、と考えてしまいがちだが、それでは伝わらない。CoSTEPでは相手が何を求めているのかを具体的に学べた。また、報告書にはアウトリーチ活動の記載が必要になるが、そこにCoSTEPの活動を書くことができた。さらに研究では民間や財団の研究費をもらうことも多いが、審査する人は分野外の人なので、その申請書作成でも役にたった。
Q:就活への効果は
A:今マスコミ、広告系で就活をやっている。相手の立場になることや、企画から実施までやっているという経験が大きい。ラジオをやったという学生もいないので貴重な経験ができた
A:CoSTEPを何の目的もなく履修する人はいない。それぞれの目的や情熱をもってやっているので、それが身に残り、説得力をもって語ることができる。就活で直接役立つかどうかわからないが、そういうことは自信をもって書けるようになった。
Q:修了後何をするのか。修了生との交流への期待について
A:もともと子供向けに科学を伝えてくれる人がほしいと思っていたので、仲間の中から仲間を見つけ、コーディネートしてやっていきたい。チームが一度きりで終わるのはもったいない。仕事で街づくりをやっているが、協力してもらっている。これからもやっていただく貴重な仲間ができた
A:印刷会社では科学技術は縁遠いと思っており、電子書籍についてきちんと説明できればと思って入った。研究者やベンダーの方とつながって、仕事に還元していきたい
Q:きっかけでスカイプで勉強会をはじめたということについて教えてほしい
A:選科でミニサイエンスイベントをやったが、e-learningだけではモチベーションを保つのが難しい。仲間からレポートについて議論しようという提案があり、9月から2月までレポートを書いた後、それについて意見交換をした。これからもする予定。スカイプなどを使えば遠隔地でもコミュニケーションすることができるので、受講生間で今後も学びつづけることができる
Q:成果の広がりについて
A:8期修了生で札幌サイエンスラボラトリーというグループをつくり、CoSTEPとは別に札幌防災シートというものをを作成して配布した。今後もワークショップ等もやっていき、将来的には論文も作成して行く予定
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・会場からの質疑とその応答(Q:会場 A:8期生)
Q:実習と講義で得られることの違いは何か
A:講義は基本的には最新の情報を聞くのに重きが置かれている。実習はチームワークなどで双方向的にやりとりしてスキルアップすることができる
Q:修士1年なのだが、前期のうちに単位を取るように言われている。その前期にCoSTEPとの兼ね合いで忙しいかどうか。また、12月になると就活が始まるが、忙しかったり大変だったことはあるか
A:修士1年の前期授業はとったほうがよい。私はサイエンスカフェをやったが正直大変だった。土日はなくなることを覚悟したほうがよい。就活もやって実習・演習にでられないことはあったが、その時期にはチームができているので助け合って乗り越えた
A:実習グループでメーリングリストをつくって連絡することもできる。そういったものを使って時間をやりくりすれば可能
Q:仕事をされている方に伺いたい。社会人には時間が取れないというハンデがある。また北大生に囲まれてしまうと能力的な部分で不安もある。ついていけない!といったこともあったかどうか。またそれをどう乗り越えたかを伺いたい
A:そんな大変なところではないので心配する必要はない。社会人には社会人の経験があり、学生には学生にしかできないことがある。それぞれ協力することが大切。講義はわからないこともあるが、講師の先生にはまた会えないので、その際にすぐ質問する積極性は必要
A:講師の先生だけではなく、受講生仲間からもアドバイスを受けて勉強になった。選科で全国の方と知り合いになれて今でも交流している。
Q:選科でのイベント企画でどのようなことをして、何が大変だったのか(Kさんに)
A:家庭の食材をつかった防災イベントを企画・実施した。初めの案では全く違っていたが、講義を受けつつ、ブレストしていってその形になった。それからの実験の準備・組み立てが大変だった。失敗した場合も考える必要があり、かなりの時間を使った。その分本番リハーサルに時間を取れなかったのが反省。いずれにせよタイトな時間の中で実施のが大変だが、自分の役割をしっかり果たしていくことができれば必ず成功する。がんばってください