実践+発信

「現代における「ワークショップによる学び」のあり方」720 苅宿俊文先生の講義レポート

2013.8.2

  「コミュニケーションは難しくない、きっかけと、相手を思いやる想像力、この2つがあれば大丈夫です。」

 本日の講師は、コミュニケーションの場づくりの専門家である苅宿俊文先生。先生は、教育学から見たワークショップデザインの第一人者です。今日は「ワークショップによる学び」のノウハウを伝授して頂きました。
・ワークショップの定義ってなんだろう?
 苅宿先生によると、「定義」とは「ものさし」のようなものだということでした。「ものさし」は使い分けると便利です。前提条件、活動場面、方法の3つに分けたワークショップの定義を教わりました。

1)ある活動が“ワークショップであること”の定義<=前提条件>

 ワークショップであるかどうか確認するための前提条件とは、「コミュニティ形成(仲間づくり)のための他者理解と合意形成のエクササイズ」であるということ。ワークショップという手法を使うからには、自分と他者が存在し、他者を理解し、お互いにとっての「納得解」を生み出す、ということを目的とする必要があります。ワークショップはそのための「練習台」なのです。
2)ワークショップを“デザインする”ための定義<=活動場面>

 ワークショップをデザインする際の活動内容の目安(=どのような活動場面を創ればよいか)としては、協働性、即興性、身体性、自己原因性感覚の4つが挙げられます。その全てが、私たち全員に既に備わっている性質です。講義ではそれら4つを、受講生が体を動かしながら確認しました。
また、ワークショップの性質上、特に大きな意味を占めるのが協働性です。そして、正しい答え(=正解)だけではなく、自分が納得した答え(=納得解)にこそ意味があることを伝え、参加者に自己原因性感覚を常に失わせないことも大切です。
3)ワークショップの“具体的な活動”としての定義<=方法>

 ワークショップを行う際の具体的な活動イメージ=方法は、「講義など一方的な知識伝達のスタイルではなく、参加者が自ら参加・体験して、協働で何かを学びあったり、創り出したりする学びと創造のスタイル」であるということです。
 ワークショップをデザインする際は、これら3つを常に考えることが大切です。
・できる+わかる+分かち合う
 教育学の学問的な見地からすると、「できる=行動主義」「わかる=認知主義」「分かち合う=社会構成主義」の3つの学習観があります。従来の教科の授業は、「できる」「わかる」を土台にした獲得型の学習。ワークショップは、「分かち合う」を土台にした参加型の学習と言えます。

 従来の教科の授業では、学習者は自分一人、得られるものは正解、価値は結果(正解)でした。しかしワークショップでは、学習者は「自分と他者」(=共同体)であり、得られるものは正解ではなく「納得解」、価値は「結果とプロセス」であると考えるのです。
実は講義では、もっと詳しく、もっと広く、頭がパンクしそうになるくらい多くのことを教えて頂きました。ここでは書ききれません。それらを受けて私たちはこれからどうするのか、そこが大切ですよね。
「知らないで悩むのではなく、知っていて悩んでください。」
 これから私たちは科学技術コミュニケーターとして大いに悩み、ワークショップを含めた学習の場をデザインしていきます。苅宿先生、ありがとうございました!

(古家衣梨 2013年度本科・北海道大学大学院環境科学院 修士1年)