実践+発信

108サイエンスカフェ札幌「ムシ居所が問題だ。エキノコックスとの付き合い~」を8/4(日)開催

2019.7.8

第108回サイエンス・カフェ札幌「ムシの居所が問題だ。~エキノコックスとの付き合い方~」

【イベント概要】
北海道には「エキノコックス」という“ムシ”が棲んでいます。彼らは、キツネとネズミのからだを主なすみかとする「寄生虫」です。まれにヒトの体内に入り込み、約10年間の潜伏期間を経て重い肝機能障害等を引き起こします。治療が難しいため、キツネからうつる寄生虫として北海道では古くから恐れられてきました。特に近年では、札幌のような大都市でもキツネが人を恐れず住宅地に出てくるようになり、私たちのエキノコックス感染リスクは高まっています。

「エキノコックスの卵が含まれているかもしれないので、沢の水はそのまま飲まない、山菜は十分に加熱して食べる」といった日常的な対策はとても大事ですが、それだけでは身の回りのリスクは下げることはできません。そこで、野生のキツネに虫下し入りのエサを食べさせるというエキノコックス撃退法が開発されました。この方法は、現時点で最も有効なエキノコックス対策とされています。一方で、効果を持続させるためにはお金も手間もかかる、というデメリットがあり、さらに環境中に薬剤をまくことによる生態系への影響は未知数です。そのため、どこまでこの方法を進めるかは、専門家だけでは決められません。

また、人間にとっては「病原体」のエキノコックスですが、キツネには大きな害は及ぼしません。エキノコックスは、他の動物のライフサイクルに適応して進化してきた野生動物の一種でもあるのです。今回のカフェでは、寄生虫の疫学を専門とする野中成晃さん(獣医学研究院 教授)をお招きし、エキノコックスという動物と我々はどう付き合っていくべきか、みなさんと一緒に考えていきます。

【日時】2019年8月4日(日) 14:30~16:00  ※14:00開場
【場所】紀伊國屋書店札幌本店1F インナーガーデン
【聞き手及びデザイン担当】
池田 貴子/北海道大学 CoSTEP 特任助教。博士(獣医学)。専門は都市ギツネの生態学。
【主催】
北海道大学高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター
科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP・コーステップ)
【定員】80名
【参加費】無料

【ゲストプロフィール】

野中 成晃(のなか なりあき)さん…北海道大学大学院 獣医学研究院 寄生虫学教室 教授。博士(Ph.D.)(米国ミシガン州立大学)、獣医学修士(北海道大学)。エキノコックスをはじめ、動物の体の中に寄生する寄生虫や、動物とヒトの両方に感染する人獣共通感染症の疫学を専門とする。2019年3月まで宮崎大学農学部獣医学科教授。4月から古巣の北海道大学獣医学研究院教授に着任した。寄生虫学に興味を持ったきっかけは、常に雌雄がセットで生涯を過ごす日本住血吸虫の生態に人生哲学を感じたこと。

野中 成晃さんの研究に関するもっと詳しい情報は以下の記事にも掲載しています。

いいね!Hokudai記事「クローズアップ#106 「エキノコックス」ってどんな生き物? ~感染しないために敵を知る~」
https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/article/10118