この部屋は一度、失われた。主は変わり、門下は縁の品々とともにそれぞれ別の場所へ移っていった。
生前、主は『実験室の記憶』という随筆でこう書き記している。
「実験室の中へはいり込んで、働くことによって、身体で憶えこまなければわからないような種類の知識は、実験室内の人と物、すなわち実験室がもっているのである。そういう種類の知識は、実験室が活きて動いていれば、いつの間にかその実験室に蓄積されてくる。そしてそれが実験室の記憶となるのである。」
年月を経て、主を慕う人々は品々を持ちより、部屋を復活させた。この部屋にもやはり記憶は宿っているのだろうか。
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天からの部屋 ~北海道大学理学部本館N123 中谷宇吉郎復元研究室~
中谷宇吉郎 他撮影日: 2021年2月25日・3月1日
パノラマ撮影・ウェブ制作:横谷 恵二
肖像撮影・執筆: 川本 思心
協力: CoSTEP16期ライティング編集実習・北海道大学総合博物館・中谷宇吉郎記念財団・杉山滋郎・山崎敏晴
コンセプト: 川本 思心(CoSTEP)・村井 貴(常葉大学)
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