実践+発信

選科A活動報告「NO CHOICE NO LIFE」

2024.9.6

グループ名 チーム
メンバー 犬藤、出田、大朝、城、神田、平野

1.背景と目的

私たちの日常生活(LIFE)には、様々な科学技術が関与しています。中でも人工知能(AI)は最近急速に発展しており、日常生活の些細な選択から、就職や出会い・結婚のように人生における重要な決断にも関わるようになりつつあります。

チームでイベントのテーマについて議論する中で、「自分だったらどこまでAIを受け入られるか?」という話題になった時、メンバーによってAIを受け入れられると感じる程度(受容度)には違いがあることが分かりました。

この違いについて議論したら面白いのでは?と考え、私たちのチームではこの「受容度」について、イベント参加者の皆様に問いかけ、違いについてみんなで考える企画を作ることにしました。タイトルの「NO CHOICE NO LIFE」には、「私たちの人生には科学技術に関する選択が必須となっている」というメッセージが込められています。

また、実施手法としては「楽しい」「堅苦しくない」など、参加の敷居を下げる工夫をすることも目的の1つとして、チーム内での議論の重要なテーマとなりました。

【メンバーの役割】

犬藤:出演、台本
出田:出演、演出
大朝:全体統括、タイムキーパー
神田:出演、アンケート、台本
城:台本、タイムキーパー
平野:ポスター、レポート、演出

2.実施方法

オンラインイベントの参加者の皆様に科学技術(特にAI)の受容度に関する問いかけを行い、科学技術コミュニケーションとして議論するという目的を達成するため、日常生活に科学技術が関与している場面を想定した関する質問を合計4問用意しました。

メインの質問として、チーム内でも最も意見の割れた「AIを用いた信用スコアサービス」に関する受容度を問うこととし、その前段として受容度に違いが出そうな質問を3問用意しました。

また、楽しく参加し気軽に投票やコメント投稿できるように、VTuber風(画面上には案内役としてキャラクターを登場させ、スピーカーは声のみの出演)の演出にしました。

3.内容

はじめに
イベントのはじめに、案内役3人の自己紹介と、今回の趣旨を説明しました。
Youtubeの双方向機能を活用
今日のお題は「先端科学をどこまで受容するかを見極める」!
説明用画面(下のキャラクターが案内役)
日常生活とAIに関する質問と議論

次に、それぞれの質問の状況設定について説明し、受容度を4段階に分けてYoutubeのアンケート機能で自分がどれに当てはまるか投票してもらいました。

投票タイムの様子

投票の結果、各質問で受容度にはかなり違いが出ました。メイン質問(Q4)は、投票後にコメント記入タイムを設けて、案内役がコメントを読み上げながらディスカッションを行いました。

各質問の投票結果
まとめ

最後に、再度今回の趣旨「最先端科学をどこまで受容するかを見極める」を説明し、今回のイベントを機に改めて科学技術と日常の生活について考えてみては?という問いかけをしました。

4.アンケート結果

イベント終了後、28名の方から回答をいただきました。

演出の工夫

キャラクターを登場させることで、投票やコメントがしやすくなったとの回答を多く頂きました。演出の意図である「気軽に投票やコメント投稿できる雰囲気づくり」は達成されたと思われます。

メイン質問「信用スコア」

信用スコアサービスは多くの方が不愉快に感じていました。ただし、コメントでは本来議論したいテーマだけでなく、「個人情報の保護」という点も混ざった内容になってしまいました。

「個人情報のセキュリティは万全と仮定する」と口頭で説明していましたが十分に伝わっておらず、前提条件の説明に工夫の余地があったと思われます。

最先端科学の受容度の違い

人による受容度の違いを感じた人も多くいました。Youtube Live中にも賛否両方のコメントが寄せられており、最先端科学をどう受け入れるか、改めて考える機会になったのではないかと推察されます。

5.感想

苦労したこと

今回のイベントのカギである「日常生活とAIに関する質問」を考えることに非常に時間がかかりました。普段気になっていた些細なことがきっかけに思いつくこともあり、日ごろからサイエンスコミュニケーションのネタ探しのアンテナを張ることも意外と重要なことがわかりました。

白熱する議論

また、演出面では、リアルタイムでの議論をするためアドリブでの対応力も問われるため、とっさの対応やテーマに関する背景知識なども必要ということを実感しました。

達成できたこと

リアルタイムのコメントやアンケートから、楽しんで頂けたことが伝わってきました。今回の目的である「最先端科学の受容度の違いについて楽しく議論する」ことが実践できたのではないでしょうか。

親しみやすさの面で、VTuber風演出の有効性も感じられました。今回の経験を基に、伝え方の工夫も益々取り組んでいきたいです。

当日の裏の顔
ドヤ顔の集合写真

本記事は、2024年7月15日(月/祝)に実施した2024年 選科Aオンラインサイエンスイベント「LIFE」の報告記事の1つです。CoSTEPの選科Aコースでは、全国各地の選科A受講生が札幌に集まり、オンラインサイエンスイベントをいちから作り上げる3日間の集中演習を行っています。24人の受講生が4グループに分かれ、計4つのイベントが行われました。報告書ができ次第、以下のリンクより、ご覧いただけます。他の活動報告もぜひご覧ください。

選科A活動報告「多事争論」
・選科A活動報告「殺す?」
選科A活動報告「NO CHOICE NO LIFE」(本記事)
選科A活動報告「“生きる”かたちの新提案」