2018年度ライティング・編集実習、最後の成果紹介は「記憶の部屋」です。普通は立ち入ることのない研究者の部屋をVRと従来のカメラ、そして短文で記録・表現するプロジェクトです。この企画はライティング・編集実習とメディアデザイン実習のコラボ企画で、ライティング・編集実習メンバーは部屋に点在する様々な品々「アイテム」の取材と説明文作成を手がけました。
今年もアイテムやVR撮影は、プロのカメラマンにお願いをしました。アイテムは、コウモリ写真家として有名な中島宏章さん。VRは昨年に引き続きパノラマ写真家の横谷恵二さんです。道内におすまいのカメラマンとネットワークをつくることも重要な目的です。
企画と準備
まずは2実習メンバーが集まり、スタッフから過去の部屋の紹介やコンセプトの説明、類似する他の作品の紹介などを行いました。そして受講生は将来に残したい研究者をリサーチし、プレゼンテーションを行いました。
数多くの研究者が候補にあがりましたが、ディスカッションと投票を経て理学研究院の動物分類学者、柁原宏さんが選ばれました。実は柁原さんは昨年度も候補にあがっていました。学生さんの人気の高さがうかがえます。
(柁原さん)<撮影:中島 宏章>
取材・撮影
取材は3回に分けて行われました。第1回は1月30日。趣旨説明を柁原さんに行い、実際にVRも体験して頂き、承諾を頂きました。そして2月5日にVR撮影を行う部屋を確認し、アイテムがどれくらい、どの場所にあるかを下調べしました。これによって本取材をスムーズに行うことが可能になります。そしてインタビューを行い、柁原先生の研究について深堀りしました。
(2017年度に作成した部屋を体験する柁原さんと説明をするメディアデザイン班の大橋さん)
(いいね!Hokudai記事の取材のためインタビューするライティング班の佐藤さん)
第3回は2月20日。メディアデザインメンバーと横谷さんが居室をVR用画像を撮影します。その後、全員で居室にあるアイテムに関するインタビューを行いました。ボツになることも想定し、多めにインタビューをします。ついつい話が盛り上がると、具体的な5W1H的な情報を聞き漏らしてしまうので注意が必要です。
(廊下のロッカーにあるアイテムについて伺うメンバー)
(撮影する中島さん)
制作・公開
アイテムは、内容の重複をさけ、さらに部屋の360度満遍なく散らばるように選択します。そしてメディアデザイン班はVR空間の座標を設定し、アイテム画像を作成します。ライティング班はアイテムの説明文を書いていきます。説明文は150字程度しかありません。限られた文字数で簡潔に、かつ無味乾燥ではない解説をどう書くか。これまでにないタイプのライティングに挑戦することがこのプロジェクトの醍醐味です。また、VRアイテム用の文章と並行して、柁原さんのインタビュー記事を「いいね!Hokudai」用にまとめ、掲載しました。(※成果紹介(2)~「いいね!Hokudai」~参照)
完成したVRは、CoSTEPウェブサイトにて公開しました。
柁原さん:紐男の部屋
年度末に取材・制作を行ったため公開は大幅にずれこんでしまいましたが、無事公開にこぎつくことができました。「記憶の部屋」は部屋の数が多くなってはじめて意味がでてくるコンテンツです。今後も着実に部屋を増やして行きたいと思います。