実践+発信

2021年度CoSTEP受講説明会修了生座談会が行われました

2021.3.25

北海道大学・科学技術コミュニケーター養成プログラム(CoSTEP・コーステップ)の受講説明会が3月24日(水曜)に開催されました。新型コロナウイルスの影響に鑑み、ZOOMでのオンライン配信となりました。受講生座談会の様子とCoSTEP受講生座談会で行われた質疑についてまとめました。CoSTEP受講の参考にしてください。

CoSTEP受講生応募スケジュール

申込の受付期間       :2020年4月1日(月)~4月15日(木)正午
面接日時の発表(本科のみ) :4月20日(木)
面 接(本科のみ)     :4月23日(金)24日(土)25日(日)
合格者の発表(本科・選科) :4月20日(火)

授業の開始: 5月15日(土)

■受講申し込みは4月1日に応募フォームより応募してください。
■受講説明会の様子と質疑応答については、本ページをご覧ください。
■受講説明会の配布資料はダウンロードできます。

*昨年度修了生の受講体験記も今後公開予定です。

*募集に関するお問い合わせは、メールでCoSTEP事務室まで。
Email: costep_office【at】ml.hokudai.ac.jp までお寄せください  ※【at】を@(半角)に変えて下さい


受講生説明会および修了生座談会後の質疑応答

*当日の動画はこちらから視聴してください。

20210326_説明会_1

説明会質疑応答

Q:受講する実習や演習はどのタイミングで決定するのでしょうか?

A:実習は応募の用紙に希望を書く欄があります。そこに書いてもらう形で希望を集約します。その上で、面接の中で志望理由をお話しいただき、教員と応募者ですり合わせ、最終的にこの実習でお願いしますというのを合格連絡の際にお伝えします。
選科演習に関しては、応募の時点でどちらの演習か希望する項目があり、希望された場合はその演習で合否を決定します。またどちらでもいいという選択肢もあり、それを選択された場合は、CoSTEPで決定し、合格発表の際にお伝えします。

Q:e-learningを選科の人も視聴できるということですが、つまり、本科の人が受ける授業を選科の人も見ることができるということでしょうか?

A:講義に関しては、本科と選科は共通です。今年はzoomを使うので、土曜日の13時から14時半の授業にZoomに入ってもらうと、選科の方も本科の方と同時に受けることができます。本科の人も、選科の人も、オンデマンドであとからも視聴できます。演習は、本科対象のものは選科の人は受講できません。一部共通のものは取ることができます。演習と実習は基本、本科向けのカリキュラムです。

Q:選科ABのどっちも受講するのは無理?

A:無理です。どちらかを選んでください。応募の時に「どちらでもよい」という選択もあります。課題文や背景を教員が見て、どちらが適正かを判断します。

Q:選科の集中演習についてですが、時間帯は終日になるのでしょうか。

A:選科A、Bによって異なります。Aの場合は、なるべく夕方までとは思っているのですが、遅くなることもあります。基本的に終日と考えてください。Bもその後、グループの中でディスカッションが長引く場合もあり、夜も開けておいていただくのが良いかと思います。

Q:遠方からで選科を検討しているのですが、ここまでオンラインが充実していると遠方でも本科が受けられそうな気もするのですが、いかがでしょうか。

A:課外活動や対面活動も多いので、オンラインで全ての活動に参加するのは難しいと思われます。これまでも遠隔地から実際に飛行機で通って、本科を受講した人もいます。地域への取材などもあるので、どうしても遠隔の方は参加の程度に差が出てしまいます。もしチャレンジしたいなら、本科と選科を併願で出してもらうのも可能です。

Q:本科は対面の実習もしながら学んでいくということでしょうか?

A:なるべく感染に気をつけながら、実習を行なっていく予定です。実習の人数が5人以下など少人数で行うことも多いため、オフラインでの活動も感染対策を併用してという条件で実施する場合もあるかもしれません。また、今後、感染状況を鑑みて、対面で活動する可能性もあります。

Q:モジュールごとに提出するレポートの分量、負担感を教えていただけますか。

A:1000字くらいの文量で年6回です。

Q:選科について、集中演習の日程が決まっていますが、もし受講が決まった後にその日程で参加できないことがわかった場合、修了することは難しくなりますか?

A:選科の集中演習日程に参加できなかった場合、修了はできなくなりますので、事前に日程の確保をおねがいいたします。

Q:選科は人気が高いというお話でしたが、選考について教えてください。また志望理由書と課題文どちらのウエイトが高いですか?

A:選科の選考は、書類のみでの選考となります。志望理由書と課題文のウェイトは等分となっています。

座談会質疑応答

Q:1年受講してみた上で、どのような方に特に受講をお勧めできると思われますか。

A(木内):誰でも受講をお勧めできます。最後はイベントや成果物をつくりあげるため、徹夜もあります。みんなでがんばろうがんばろうと作っていこうとするときに頑張れる人だと向いていると思います。

A(山内):CoSTEPで疑問を持つようになることができました。いろいろなバックグランドの人がいたから、そういう人たちと一緒に何かをして、疑問を持ちたいと思っている方にお勧めです。

Q:選科についての質問です。オンライン形式が主となりますが、講師の方や同級生と情報・意見交換する場はありますか?本気の方々と切磋琢磨したいと思ってます。すでに科学技術に関する仕事につかれている方ともいっぱい話してヒントを得たいです。

 

A(片岡):切磋琢磨する機会はめちゃめちゃありました。オンライン中心で、障壁のようなものがあって、自分の意見をぶつけるのが難しい状況ではあったが、そんなことは言ってられなかったです。何かを創りあげなくてはいけないので。また、CoSTEPの場合は、講師が魅力的です。ちょっと自分がアクションを起こすと、すごいかえってくる。1たずねると10返答してくれるって感じです。また、ともに考えてくれることも特徴で、一方的ではありません。同じように実習生ともそのような形で考えていきます。オンラインでも、交流においては問題ないと思いました。

A(林):集中演習のときはzoomをつけっぱなしでした。雑談からディープなディスカッションまで濃密なコミュニケーションができます。オンラインでも心配ないと思います。そのほかのコミュニケーションはメールなどいろいろなやり方があると思うので、大丈夫です。

Q:重ねて質問失礼します。CoSTEPを通して最もやりがいを感じたことは何でしょうか?また、科学コミュニケーションを取るにあたって難しいと感じることはありますか?

A(山下):やりがいと言われると難しいけど、充実感は強かったです。展示の時、お客さんが来てくれた時、コミュニケーションの相手が初めて目の前に来てくれ、それは嬉しかったです。

また科学技術コミュニケーションの難しさでは、自分が相手を見るだけじゃなく、相手にもこっちを見てもらわなくちゃいけないので、何回も繰り返すというのがコミュニケーションが必要で、相手にその感覚になってもらうのが難しかったです。教員や受講生は相互のコミュニケーションが成立しているけど、いざ現場に立ち一般の方に双方向のコミュニケーションを実行してもらうことが難しいと感じました。

Q:受講者の皆さんの熱意を感じました。自分次第ではありますが、Costepを最近知った人でも、ついていけるでしょうか。

A(片岡):私自身、CoSTEPを始めた動機が「面白そう」「就活にプラスになる人に出会えたら良いな」くらいの動機で、サイエンスと社会の問題とかは考えていなかったです。それでも楽しく学べる場所だと自信を持って言えます。

Q:学んだことを踏まえて、今後、みなさんは、それぞれの分野でどの立場とどの立場をつなげられるとお考えですか?

A(和田):困っている人と困っていない人をつなげる、そういうコミュニケーションの場を作りたいと考えています。

A(木内):実際にもうやっています。自分は中学校の教員なので、つなげるより近づけるという感覚ですかね。中学校の授業の中で、一見難しそうだったり、怖い科学技術に関して、子供が自分から対して「なんで?」を考えられるような活動を計画して、動いています。

Q:学生や仕事の場でCoSTEPの経験を生かせる部分はありますか?

A(山内):ライティング実習の仲間が得たものとして大きいです。全く違うバックグラウンドをもった人たちといろいろな議論をできるというのはすごく嬉しかった。

A(林):仕事で原稿を書いているので、全て生かせると思いました。また、いろいろな先生の話を聞くことができたので、企画書をいくらでも書けるけるように多様な専門に触れることができました。

Q:学部生でもCoSTEPの学習は生かせますか?

A(山内):学部生だから、修士学生だからといって、対応が変わることはありません。ただ学部生なので専門性は乏しいのですが、そういう点で苦労したことはありました。僕の場合、卒業研究にもCoSTEPに得られた視点を生かしました。

修了生座談会
〈本科〉
ライティング編集実習:山内光貴さん

受講した動機は?

学科の中だけでの学びだと、視野が狭くなると思ったので、CoSTEPでより多様な人と学びたいと思い受講しました。

CoSTEPの活動はどうだった?

ライティングでは、書評企画、突撃インタビュー、研究者インタビューの三つの活動がありました。初対面の人と話すのが苦手な僕にとっては、警備員さんにした突撃インタビューは、とても緊張しました。ライティング編集といっても書くだけでなく、写真の撮り方やインタビューの仕方も学ぶことができます。ライティングの記事を書き上げる過程では、受講生や先生からの指摘があり、文章の伝え方を初めて学ぶことができました。

CoSTEPの学びで印象に残っていることは?

ライティングのピアレビューは本当に印象的でした。我々ライティング実習班は、対話が慣れていなかったのですが、みんなで企画書をコメントしながらブラッシュアップするという形をとりましたが、意外にそれがうまくいきました。

就職活動との両立はどうでしたか?

私は公務員試験を受ける予定で、今年はスケジュールがCoSTEPの活動と被った時期もあったので大変だったのですが、オンラインでの受講が中心だったので、よかったです。また忙しい時期はグループで助け合うこともあったので、その点でも気持ちが楽になりました。

対話の場の創造実習:片岡美菜さん

Q:受講した動機は?

社会人から学生まで学べるということを聞いて、出会いが楽しそうだなって思って受講しました。

CoSTEPの活動はどうだった?

対話の場の創造実習はオンラインのサイエンス・カフェ札幌と、新形式のオンラインの対話イベント「ヤマメシが教えてくれること 〜世界をちょっとよくする選択肢〜」を作りました。実習の特徴としては、イベントいう形のないものを作るということで、何度も対話をメンバー間で行いました。

CoSTEPの学びで印象に残っていることは?

幅広い年代の方が一堂に会して学ぶことができて、多様な価値観を共有できるというのが面白いと感じました。

学業とCoSTEPどうやって両立しましたか?

両立を前提ですがw。自分の研究を人に伝えることや、コミュニケーション全般で学業やその他の活動にも生かすことができました。

アート&デザイン実習:山下芳夏さん

Q:受講した動機は?

大学院で新しいことに挑戦してみたいと思っていたことと、大学院の中で研究だけじゃなく別の観点から科学に貢献したいという思いがあって、受講しました。

CoSTEPの活動はどうだった?

私の実習では、みんなで展示を見に行ったり、対話班のイベントのチラシデザインを行いました。私は、「そりにひかれて」という展示を行い、北大の研究者の研究内容を造形言語を使って展示しました。また、いままだ動いているんですけど、キツネのトランクキットの一部である、都市部のキツネをテーマにした絵本を作成しています。

CoSTEPの学びで印象に残っていることは?

アート&デザイン実習を得て、アートもデザインも科学も広いよ!って思うようになりました。それと同時にアートと科学がつながっていることも理解できるようになって、アプローチの一つとしてアートとデザインっていいチャンネルだなと思いました。展示の来場者も、アートに惹かれてきた方もいて、造形言語を使ったことによって、受け手の興味を引くことができたのかなと思いました。また現場の人の話を聞くと、自分の想定とは違うトラブルがあり、決めつけてしまうのは危険だということも感じました。

科学技術コミュニケーションにおけるアートやデザインの意義とは?

科学とアートがつながるということが私自身も意外でした。科学者の視点はともすると科学側によりすぎだし、アーティストの作品のテーマの中にも科学に近い部分もあるので、科学者とアーティストをつなぐコミュニケーターのカタチもあるんだなって思いました。

ソーシャルデザイン実習:和田順子さん

Q:受講した動機は?

私は食育の講師業をやっているんですが、知り合いに強く勧められました。フードロスや環境問題というテーマにも取り組んでいるんですが、本格的にみんなが自分事に解決しないといけいない時期だと思うんですけど、どうすればいいの?っていうことでヒントを得るためにCoSTEPを受講しました。

CoSTEPの活動はどうだった?

ソーシャルデザイン実習は最後まで説明しづらいんですけど、世の中の問題やみんなに考えてもらいたいこと、トライしてもらいたいことをとりあえず考えて、参加してもらう入り口を作る実習です。他の実習と比べて、枠が決まっていないので、何が最適な手法なのかも自分たちで決めていかなきゃいけないので大変でした。最後の活動は、当たり前の物差しを疑問視するイベントとして、参加者が周りに忖度なくコミュニケーションできる場を作るために、ヴァーチャルリアリティ空間で対話するという実践をしました。全部自分たちから一からやらないといけないので、すごく苦しかったんですが、影から先生が見守ってくれたり、周囲のCoSTEP生の支援もありました。

CoSTEPの学びで印象に残っていることは?

私より若い大学院生、大学生たちと徹底的に話し合ったな、というのが印象です。コミュニケーションをフラットにできたというのが印象的でしたし、信頼関係を構築することもできました。あと、学校だからって中途半端なことはしないなって思いました。遊びじゃないっていう本気度が充実感につながりました。

社会人として本科を受講してみてどうでした?

私、子育てしながら、しかも途中からダブルワークしながらだったので、大丈夫か!私って思ったんですけど、ともかく講義や演習、実習、全部面白くって、疲れて参加しても参加後は満足するというのの繰り返しでした。また私より就活中の大学生のほうが忙しいのに、溌溂と参加してるのを見ると、大変さを超越する楽しさがあると思っています。対話をあきらめずに続ける、というのがCoSTEPで実感したので、今の活動にも生かせています。

<選科>
選科A:木内さん

受講した動機は?

福島第一原子力発電所の事故の際、自分の勤める中学の水から強い放射線が計測されました。理科教員ということもあり、同僚からも保護者からもたくさん質問を受けました。ただ、放射線は怖いだけではない側面もあります。そういうことをうまくコミュニケーションできればと思っていたところ、自分のいとこからCoSTEPの話を聞き、受けたいなと思いました。

CoSTEPの活動はどうだった?

選科Aは多様なメンバーが集まり、3か月かけてオンラインイベントを企画しました。私たちの班は、オンラインイベントでどのように参加者の科学活動への主体性を高められるかなということを話し合い、コロナ禍で配当された定額給付金をヒントに、「サイエンス総選挙2020〜もしも定額研究投資金が給付されたら〜」というイベントを実施しました。

CoSTEPの学びで印象に残っていることは?

いろんな人とイベントを作る過程で、人々の科学技術に対する意識は多様なのだということを実感しました。知識を伝えるだけでなく、関係するみんなで問題を話し合い、考え続けることが大切だということを再認識しました。

オンラインでイベントを作るってどうでしたか?

初めての体験だったので、最初はとても緊張しました。最初はオンラインということで、探り探りでしたが、3か月という時間を使って、先生のテコ入れもあり、最後は一体感をもってやることができました。

選科B:林愛子さん

受講した動機は?

仕事は科学記事の執筆をしているのですが、コロナでいろんな情報が流布してて、情報発信の仕方を改めて学び直したいという思い立ち、改めて科学技術コミュニケーションを本格的に学ぼうと思い受講しました。

CoSTEPの活動はどうだった?

選科Bでは予め提出した課題文を2日間のピアレビューでブラッシュアップする活動が中心です。いつも一人で原稿執筆しているんですが、今回は孤独じゃない執筆で、なおかつ違う立場の指摘もすごく参考になりました。2日間のミニレクチャーでは、言葉で伝えるもどかしさをワークショップで体験する活動もありました。

CoSTEPの学びで印象に残っていることは?

トランスサイエンスというキーワードでした。科学に問うことはできるけど科学には答えるたえることができない問題、これを一年かけて考えていきました。まだ答は私自身も見つけられていないのですが、それを考える基盤はできたかと思います。

オンラインで受講する学びはどうでしたか?

私は東京からの受講です。一番よかったのは、気軽に受講できた点です。仕事をしていると、オンデマンドで見返せる仕組みもありがたかったです。ただ、先送りにすると講義や課題もたまってしまうので、タイミングよく受講するのが大切だと思います。またZOOMでオンラインで参加すると質疑応答でもコミュニケーションの機会がありました。