2019年度のライティング・編集実習のメンバーは、学生3名、社会人3名。この6名がスタッフと共に、主に三つのプロジェクトに取り組みました。ひとつ目は「科学」に関する書籍の書評執筆。ふたつ目はFacebookページ「いいね!Hokudai」の記事作成。みっつ目はメディアデザイン実習と協働したVRコンテンツ「記憶の部屋」の制作です。
これらの活動を通して、調べること、話を伺うこと、それを書き、伝え、残していくことを、繰り返し実践を通して学んできました。その成果物について、3回に分けて紹介します。
第1回 読む・伝える:書評
第2回 深く現場を取材する:いいね!Hokudai
第3回 他チームと協働する:記憶の部屋
最初の成果紹介は書評執筆です。1人1冊、計6本の記事を、CoSTEPウェブサイト実践+発信 成果物に掲載しました。
(今年度の6冊)
6月初旬、北大生協院生組織委員会が発行している院生による書評冊子『ほんでないかい』を一人一冊配り、各自目を通して書評にコメントをするということからスタートしました。ほんでないかいは、書いている人の所属や文章の特徴、書かれている本の種類も多様にあるため、まず書評のおもしろさを感じるのに最適です。また自分たちと近い立場の人が書いているため、書き手の意図や気持ちも感じ取りやすく、具体的なコメントがしやすいという要素もあります。実習の場では、「この表現うまいな」「こうしたらもっと良くなりそう」など意見を出し合い、自分たちで「書評のポイント」を考えていきました。
ほんでないかいへのコメントが終わったら、いよいよ自分で書評を書いていきます。まずは候補となる本を数冊持ち寄り、口頭で紹介しあいました。6人集まれば様々な分野の本も集まります。どれも面白い本ばかりですが、今紹介する意義があるのか、著者の主張は妥当で紹介するに値するのか…などを考えながら各自1冊だけを選びました。
(コーヒーを手に、本を語らう)
次は執筆です。まずは文量を気にせずに初稿を作成し、その内容をもとに、実習メンバー同士でピアレビューを行いました。本の内容は適切に紹介されているか、単なる要約ではなく自分の視点が過不足なく含まれているか、内容を盛り込み過ぎていないか等の観点から、何度もピアレビューを繰り返しました。
(全くジャンルの異なる6冊。執筆者が各々の興味関心や伝えたいことを軸に選定しました。)
書評プロジェクトでは、既に文章になっているものを基に文章を書く、というタイプのライティングを行いました。先人が残している膨大かつ貴重な資源のうえに、書くという事が成り立っていること、まずは読むことを大事にすることなどを意識づけました。そしてなにより、持ち寄った本を通して実習メンバーの興味や考え方、「科学」の幅広さを知る機会になりました。
こうしてじっくりと時間をかけ、以下6本の書評を公開しました。
- 2019年09月02日 【岩野 知子】
『境界の日本史 地域性の違いはどう生まれたか』森先 一貴、近江 俊秀(朝日新聞出版) - 2019年09月03日【菊池 優】
『ぼくは恐竜探検家!』小林 快次(講談社) - 2019年09月04日【橘 史子】
『パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集』エーリッヒ・ショイルマン(SBクリエイティブ株式会) - 2019年11月12日【鈴木 隆介】
『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知』髙石 宏輔(春秋社) - 2019年12月07日【張替 若菜】
『文系と理系はなぜ分かれたのか』隠岐 さやか(講談社) - 2019年12月13日【成田 健太郎】
『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか』枝廣 淳子・小田 理一郎(東洋経済新報社)
このうち『パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集』と『文系と理系はなぜ分かれたのか』の2つは、短縮版を作成して『ほんでないかい』に投稿し、翌号に掲載されました。
2回目の成果物紹介では、「いいね!Hokudai」プロジェクトについて報告します。