実践+発信

おめでとうノーベル化学賞受賞! ICReDD研究者たち ~CoSTEPアーカイブから紹介

2021.10.23

2021年のノーベル化学賞は、「不斉有機触媒の開発」への貢献で、リスト・ベンジャミンさん(独 マックスプランク石炭研究所)とマクミラン・デイヴィッドさん(米 プリンストン大学)に贈られました。リストさんが主任研究者を務めている化学反応創成研究拠点(ICReDD/アイクレッド)は、文部科学省の事業である「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」に採択され、2018年10月に札幌キャンパス内に設立された一大研究拠点です。ICReDDの目的は、化学反応の本質的な理解と効率的な開発であり、計算科学・情報科学・実験科学の分野を融合させることによりこの目的の達成を目指す点に大きな特徴があります。

実は、CoSTEPの過去のコンテンツにはICReDDの研究者の方々が数多く登場しています。そこで今回はCoSTEPの活動のアーカイブから、第一線の研究者であるICReDDの皆さんをご紹介します。

 

伊藤 肇さん

伊藤肇さん伊藤さんの研究グループでは、ホウ素や金属を活用した有機合成の新規反応開発、「こする」「すりつぶす」といった刺激に反応特性を示す新規材料の開発や、溶媒を使用しないメカノケミカル合成という手法に関する研究が行われています。CoSTEPではその中でも、医薬品や液晶の製造に欠かせない「有機ホウ素化合物」を従来よりも安全で低コストで可能にした合成法について紹介しています。

 

 

猪熊 泰英さん

猪熊泰英さん猪熊さんの研究グループで特に力を入れて取り組んでいるのは、ポリケトンというひも状の分子を用いた研究です。粘土のひもで土器をつくる方法のように、「分子ひも」を用いることでさまざまな構造の分子を作ることができます。分子の構造はその機能に直結することから、この研究によって様々な機能を持った分子を創り出すことが期待されています。

 

龔 剣萍さん

龔 剣萍さん龔さんの研究グループの目的は強靱で高機能なゲルを開発することです。ゲルとはこんにゃくやゼラチンのような、やわらかく水分を含んでいながらも固体性をもつものです。強靭で高機能化したゲルを作り出すことで、筋肉、軟骨、腱といった生体組織の代替として医療分野などへの応用が期待されています。

 

 

前田 理さん

前田理さんICReDD拠点長の前田さんの研究グループでは、量子化学計算とコンピュータを用いて化学反応を予測する計算式の開発について取り組んでいます。例えば、前田さんが開発した「人工力誘起反応(AFIR)法」を用いると、化学反応を予測することが可能になります。このことは化学反応開発の迅速化に貢献することが期待されています。

 

 

瀧川 一学さん

瀧川一学さん機械学習でアルゴリズムを開発するために扱われるデータの多くは表形式ですが、瀧川さんの研究では非数値による化学反応を扱うことのできる機械学習アルゴリズムの開発を行なっています。この研究によって、研究の効率化と複雑な化学反応の性質を明らかにすることを目指しています。

 

 

長谷川 靖哉さん

長谷川 靖哉さん長谷川さんのグループではランタノイド化合物に焦点を当てた研究が行われています。ランタノイドとは、原子番号で57のランタンから71の71のルテチウムまでの元素の総称であり、その性質から希土類元素(鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等などの金属や貴金属以外の非鉄金属)として扱われています。長谷川さんのグループでは紫外線をあてると光る発光分子の開発を行なっており、2013年のサイエンス・カフェ札幌では、長谷川さんの研究によりフルカラーの発光が可能になった「カメレオン発光体」がテーマになりました。

 

山本 靖典さん

ICReDD事務部門長の山本さんは、2010年、鈴木章名誉教授がノーベル化学賞を受賞した理由となった「鈴木・宮浦クロスカップリング反応」など、異なる有機化合物の炭素と炭素をつなげる触媒反応について研究されています。「鈴木・宮浦クロスカップリング反応」の実験の実演を山本さんに行っていただきました。

今回ご紹介した方の他にも、ICReDDには魅力的な研究者がたくさんいらっしゃいます。ぜひこちらよりご覧ください。